子宮筋腫とは
子宮筋腫とは
子宮の筋層に生じる良性腫瘍で、筋層内(筋層内筋腫)/子宮内腔側(粘膜下筋腫)/子宮の外側(漿膜下筋腫)など、位置や数・大きさはさまざまです。
主な症状は過多月経・月経痛(生理痛)・貧血・不正出血・下腹部の張りや圧迫感・頻尿や便秘など。妊娠を希望する方では着床障害や流産リスクへの配慮が必要になる場合があります。
一方で無症状のまま見つかることもあります。
主な背景・原因
子宮筋腫はエストロゲン依存性に増大しやすく、月経のある成熟期に多くみられます。 増悪因子・関与因子としては以下が挙げられます。
- ホルモン環境:エストロゲン/プロゲステロンの影響
- 年齢・家族歴・体質:遺伝的素因や人種差
- ライフステージ:妊娠・出産歴、初経年齢 など
- 併存しやすい病態:子宮腺筋症、子宮内膜症、過多月経による鉄欠乏性貧血(丁寧な鑑別が大切です)
必要な検査
- 問診・診察:出血量・期間、痛みの程度、貧血症状、妊娠希望の有無、既往歴・服薬歴を詳しく伺います。
- 超音波検査(エコー):大きさ・数・位置を評価し、粘膜下筋腫や腺筋症の所見を確認します。
※性交未経験の方には配慮し、経腹超音波を基本とします。必要時のみ経直腸超音波を検討します。 - MRI(必要時は連携先で実施):数や位置の正確なマッピング、腺筋症との鑑別、手術計画に有用です。
当院にはMRI設備がございません。適応がある場合は、提携医療機関に速やかに予約手配し、画像と結果を当院で共有・ご説明いたします。 - 子宮鏡検査:不正出血や不妊の評価として、粘膜下筋腫や内膜ポリープの有無を直接確認します(当院での実施/連携を症状と所見に応じてご案内します)。
- 血液検査:貧血(Hb・フェリチン)や炎症所見の評価。妊娠可能性があれば妊娠反応を優先して確認します。
※年齢やリスクにより、子宮内膜組織検査を行うことがあります(不正出血が続く場合など)。
治療の選択肢
症状の強さ・年齢・今後の妊娠希望・筋腫の数/大きさ/位置を踏まえ、過不足のないオーダーメイド設計でご提案します。
- 経過観察
- 無症状/小さく安定している場合は、定期的な画像フォローで見守ります。閉経にともない縮小することがあります。
- 症状緩和・出血コントロール(まず検討する治療)
- トラネキサム酸・NSAIDs:月経量や痛みを軽減します。
- ホルモン療法
- 低用量ピル(連続/周期投与):内膜抑制と排卵抑制で過多月経・月経痛を改善します。
- 黄体ホルモン製剤(内服)/レボノルゲストレル子宮内留置システム〈ミレーナ〉:経血量の大幅な減少が期待できます。
- GnRHアゴニスト/アンタゴニスト:術前の縮小や症状強い時の短期集中的治療として使用します(アドバック療法で低エストロゲン症状を予防します)。
- 鉄補充:貧血には内服鉄/静注鉄で体調の底上げを図ります。
- 外科的治療(薬物で不十分・妊娠希望への配慮・サイズや位置の問題がある場合)
- 子宮鏡下手術:粘膜下筋腫に対し、子宮内から削る低侵襲手術です。不妊・過多月経の改善が期待できます。
- 腹腔鏡下/開腹 子宮筋腫核出術:妊娠希望がある場合の選択肢となります。子宮を温存し筋腫のみを摘出します。
- 子宮全摘術:妊娠希望がなく症状が強い/多発・巨大で生活に支障が大きい場合に検討します。
- 子宮動脈塞栓術(UAE):カテーテルで筋腫の血流を遮断する血管内治療です。妊娠希望がある場合は慎重に適応判断します。
- 集束超音波治療(MRgFUS):実施施設が限られますが、適応に合致すれば切らない治療の選択肢となります(当院から連携紹介いたします)。
妊娠をお考えの方へ
とくに粘膜下筋腫は着床や流産率に影響することがあります。子宮鏡下切除など、妊孕性に配慮した方針を個別に設計します。術後は再発予防や妊娠計画のタイミング設計まで伴走します。
受診のご案内
夜用でも漏れる過多月経/貧血による息切れやだるさ/下腹部の張りや頻尿・便秘/不妊――こうしたサインは、生活の質を下げるだけでなく、将来設計にも影響します。
「体質だから」と我慢せず、早めにご相談ください。24時間WEB予約またはお電話で承ります。
必要な検査は院内で速やかに、MRIが必要な場合は提携医療機関で確実に実施し、結果は当院で分かりやすくご説明します。
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