にきびとは

にきびとは

毛穴(毛包)と皮脂腺の炎症性疾患で、白・黒ニキビ(面皰)/赤いぶつぶつ(丘疹・膿疱)/しこり(結節)として現れます。
思春期だけでなく、大人の女性に多いアダルトアクネも一般的で、生理前の悪化やあご・フェイスライン優位といった特徴を伴うことがあります。
放置すると色素沈着(茶色い跡)や瘢痕(クレーター)につながるため、早期の計画的な治療が大切です。

主な背景・原因

にきびは「毛穴の詰まり→皮脂増加→細菌増殖→炎症」が重なることで生じます。背後には次の因子が関与します。

  • ホルモン要因:思春期/月経前/多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などでアンドロゲン作用が強まると皮脂分泌が増えます。
  • スキンケア・外的刺激:マスク、髪のこすれ、濃いメイク/オイル系下地、不十分な落とし方、洗い過ぎ。
  • 生活要因:睡眠不足、ストレス、喫煙、偏食。
  • 薬剤性・体質:ステロイド、一部の薬剤/家族歴。
  • 鑑別すべき状態:酒さ、口囲皮膚炎、マラセチア毛包炎 など、見た目が似て治療方針が異なる病態もあります。

必要な検査

基本は視診と問診で診断します。重症度、分布、既往歴・内服歴、スキンケア習慣を丁寧に確認し、跡(色素沈着・瘢痕)の評価も行います。
女性では、以下を必要に応じて検討します。

  • ホルモン評価:月経不順、男性化徴候(多毛・脱毛・にきびの急激な悪化)がある場合は、PCOS等の内分泌疾患を念頭に採血を含めた評価を検討します。
  • 妊娠の有無:妊活中・妊娠中・授乳中は使用できる薬が限られるため必ず申告をしてください。
  • 鑑別のための皮膚所見確認:酒さや口囲皮膚炎が疑われる場合は方針を切り替えます。

治療の選択肢

肌質・重症度・妊娠希望の有無・生活スタイルに合わせ、段階的にご提案します。

スキンケア最適化(全例の土台)

  • 1日2回までのやさしい洗顔、ノンコメドジェニックの保湿・日焼け止めを選択します。
  • メイクは帰宅後早めにオフ、ヘア製品は生え際につかないよう工夫をします。
  • 摩擦(マスク/枕/顎を触る癖)を最小限にします。

外用治療(基本)

  • 過酸化ベンゾイル(BPO):殺菌・面皰改善。
  • アダパレン(外用レチノイド):角化是正で詰まりを予防します。
  • BPO+抗菌薬/アダパレン+BPO配合薬:炎症性病変に有効です(外用抗菌薬は耐性対策として原則BPOと併用・限定的に使用します)。

内服治療(中等症以上で検討)

  • テトラサイクリン系抗菌薬(ドキシサイクリン/ミノサイクリンなど):通常数週間〜数か月を目安にコースで使用します。
  • 漢方:体質や随伴症状(冷え・むくみ・便秘など)に応じて選択します。
  • 女性に適したホルモン治療
  • 低用量ピル:皮脂分泌抑制・面皰改善により生理前悪化型や下顎ライン優位に有効です。
  • スピロノラクトン:女性のホルモン依存性にきびで有効な場合があり、適応・安全性を吟味の上で検討します(※妊娠禁忌/定期検査が必要、保険適用外の場合あり)。
  • PCOSが疑われる場合は月経コントロールや代謝評価も含め、婦人科的なアプローチを併用します。

妊娠中・授乳中

  • 外用BPO、外用抗菌薬(短期)など安全性に配慮した選択を行います。外用レチノイド/内服テトラサイクリン等は原則避けます。
  • 跡(色素沈着・瘢痕)対策
  • まずは新生にきびの抑制が最優先。色素沈着には紫外線対策と外用治療、瘢痕は美容皮膚科的治療(ケミカルピーリング、マイクロニードリング、レーザーなど)をご希望に応じ連携します。

受診のご案内

「そのうち良くなる」と我慢している間に、跡や瘢痕が残ることがあります。
生理前に毎回悪化する/あご〜フェイスラインに繰り返す/痛みが強いしこりが出る/跡が増えてきたなど、そんな時はお早めにご相談ください。
当院では、婦人科(ホルモン評価)と皮膚の治療を横断し、生活に無理のないオーダーメイド治療をご提案します。24時間WEB予約またはお電話にて承ります。

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