過多月経とは
過多月経とは
通常より経血量が多い、あるいは出血が長引く月経を指します。
目安としては、夜用やダブルでも漏れる、レバー状の血塊が出る、1時間ごとにナプキンを替えても追いつかない状態が数時間続く、8日以上続くなど。
放置すると貧血や日常生活の質の低下につながるため、早めの評価が大切です。
主な背景・原因
- 構造的要因
子宮筋腫(とくに粘膜下)/子宮腺筋症/子宮内膜ポリープ、まれに子宮内膜の過形成・悪性(子宮体がん) など - 機能的要因
無排卵周期(思春期・更年期周辺に多い)/ホルモンバランス異常(例:甲状腺機能異常)/凝固異常(フォン・ヴィレブランド病など)/薬剤性(抗凝固薬 等)/銅付加IUD など
※周期が乱れている、経血量が急に増えた、不正出血を伴う場合は、背景疾患の精査が必要です。妊娠の可能性があるときはまず確認します。
必要な検査
- 問診・診察:出血パターン、月経量(夜間漏れ・凝血塊)、月経周期、妊娠希望、既往歴・服薬歴を丁寧に伺います。
- 妊娠反応:妊娠の可能性がある場合は最優先で確認します。
- 超音波検査:子宮筋腫・腺筋症・内膜ポリープの有無、子宮内膜の厚さを評価します。
※未経性交の方には配慮し、経腹超音波(お腹の上から)を基本とします。必要時のみ経直腸超音波を検討します。 - 採血:血算(Hb・MCV)/フェリチンで貧血評価、必要に応じて甲状腺機能、凝固系(出血傾向が疑われるとき)を追加します。
- 子宮内腔の精査:所見により子宮鏡検査や子宮内膜組織検査を検討します(とくに40歳以上、肥満・PCOSなどリスクがある方、ホルモン治療で改善しない場合、不正出血が持続する場合)。
治療の選択肢
原因・年齢・妊娠希望の有無・ライフスタイルをふまえ、過不足のないオーダーメイド設計でご提案します。
- 内科的(まず検討する治療)
- トラネキサム酸:月経時の出血量を抑える抗線溶薬。
- NSAIDs:プロスタグランジンを抑え、出血・痛みを軽減します。
- ホルモン療法
- 低用量ピル(連続/周期投与):排卵抑制と内膜抑制で経血量を減少します。
- 黄体ホルモン製剤(内服)
- レボノルゲストレル子宮内留置システム(ミレーナ):内膜を薄く保ち、経血量を大きく減らします。
- 鉄補充:貧血があれば内服鉄/必要に応じ静注鉄で体調の底上げを図ります。
- 外科的(原因が明確/薬物で不十分な場合)
- 子宮鏡下ポリープ切除/粘膜下筋腫切除
- 子宮筋腫に対する手術・子宮動脈塞栓術(UAE)
- 子宮内膜焼灼術や子宮全摘など(ご年齢とご希望に応じ、提携医療機関へ適切にご紹介します)
当院では内科的治療を軸に、負担の少ない選択肢からご案内します。ミレーナ挿入は、痛みに配慮した方法で対応可能です。
受診のご案内
「体質だから」と我慢を重ねると、貧血や生活の質の低下につながり、背景疾患の発見が遅れることがあります。
とくに 1時間に1回以上の交換が数時間続く/夜用でも漏れる/血塊が多い/8日以上続く といったサインがあれば、早めにご相談ください。
24時間WEB予約またはお電話で承ります。原因評価から治療・再発予防まで、日常に無理のない計画を一緒にデザインします。
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