貧血とは

貧血とは

血液中の赤血球やヘモグロビン(Hb)が不足し、全身に酸素を運ぶ力が低下している状態です。
立ちくらみ・息切れ・動悸・倦怠感・頭痛・集中力低下・冷えなどを伴い、日常生活の質に影響します。
女性は月経や妊娠・出産の影響で貧血になりやすく、早めの評価と適切な治療が大切です。
(一般に、非妊娠女性では Hb 12.0 g/dL 未満 が貧血の目安です。)

主な背景・原因

  • 鉄欠乏:月経過多(子宮筋腫・子宮腺筋症・内膜症など)、妊娠・授乳期、偏食/ダイエット、消化管からの出血(胃炎/潰瘍/痔など)
  • 慢性疾患に伴う貧血:炎症性疾患、腎機能低下など
  • 造血に必要な栄養素の不足:ビタミンB12/葉酸欠乏
  • 溶血/先天性:溶血性貧血、サラセミアなど(頻度は低めです。)
  • 内分泌・その他:甲状腺機能異常、薬剤性 ほか

月経量が多い/経血期間が長い/レバーや氷を無性に食べたくなる(氷食症)などは鉄欠乏のサインです。
背景に婦人科疾患が隠れていないか、丁寧に評価します。

必要な検査

  • 問診/診察:症状の経過、月経量(凝血塊の有無・夜間漏れ・昼用の連続使用など)、食習慣・既往症・服薬歴を詳細に伺います。
  • 血液検査
  • 血算(Hb/Ht/MCV など):貧血の程度とタイプを把握する。
  • 鉄関連:フェリチン/血清鉄/TIBC/トランスフェリン飽和度/網赤血球
  • 必要に応じて B12/葉酸、甲状腺機能、炎症反応 を追加します。
  • 超音波検査(骨盤):子宮筋腫/子宮腺筋症/内膜症 など月経過多の原因を評価する。
    ※未経性交の方には配慮し、経腹超音波を基本とします。必要時のみ経直腸超音波を検討します。
  • 消化管精査の検討:便潜血や消化器症状がある場合は、連携医療機関で内視鏡検査を手配します。

治療の選択肢

原因と生活背景、妊娠希望の有無をふまえ、根本原因への介入+造血のサポートを並行します。

  • 鉄補充
  • 内服鉄(第一選択):吸収を高めるため隔日〜毎日の適切な用量で調整し、ビタミンC同時摂取や茶・コーヒー同時摂取を避ける等の工夫をご案内します。
  • 静注鉄:内服で副作用・効果不十分・急速補充が必要な場合に検討します(適応を見極めたうえで実施または連携紹介)。
  • 目安:Hbは2〜3週で上昇し始め、正常化後も3か月程度は継続してフェリチン(貯蔵鉄)を回復させます。
  • 月経量のコントロール(婦人科的治療)
  • 低用量ピル/黄体ホルモン製剤/レボノルゲストレル子宮内留置システム(ミレーナ)
  • 子宮筋腫・腺筋症が背景の場合は、その病態に即した治療をご提案します。
  • B12・葉酸欠乏:葉酸内服/B12補充(内服・注射)
  • 慢性疾患・内分泌の是正:甲状腺機能異常や腎機能低下などは内科と連携し治療します。
  • 輸血:重症で症状が強い場合に限り、基準を満たせば高次医療機関にて対応します。
  • 受診のご案内

    「忙しいから」と先延ばしにすると、背景疾患や月経過多を見逃し、慢性的な体調不良につながることがあります。
    息切れ・動悸・めまい・強い倦怠感が続く方、月経量が多い/期間が長いと感じる方は、どうぞお早めにご相談ください。
    24時間WEB予約またはお電話で承ります。検査から原因治療、再発予防まで、負担の少ない計画をご一緒にデザインします。

    ご予約はこちらから