頻尿・排尿時痛(シニア期)— つらい膀胱トラブルの評価と治療

頻尿・排尿時痛とは

頻尿は昼夜の排尿回数が多い状態、排尿時痛は排尿の始めや終わり、尿道・膀胱あたりに痛み・しみる感じが出る症状です。
多くは膀胱炎など良性の原因ですが、腎盂腎炎・結石・腫瘍が隠れることもあるため、早めの評価が大切です。

主な背景・原因

  • 感染症(膀胱炎・腎盂腎炎):排尿時痛、残尿感、頻尿、時に血尿・発熱・背部痛。
  • 過活動膀胱(OAB):尿意切迫・頻尿・夜間頻尿が中心。痛みは軽い/ないことが多い。
  • GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群):膣・尿道の萎縮によるしみる痛み、頻尿、反復膀胱炎。
  • 尿路結石:突然の激しい痛み、血尿、吐き気を伴うこと。
  • 間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS):膀胱~尿道の痛み+尿意頻回が長期に続く。
  • 骨盤臓器脱・尿道憩室:残尿・違和感・反復感染。
  • 糖尿病・神経因子・薬剤:利尿薬、カフェイン・アルコール、人工甘味料などが悪化要因。
  • 性感染症(STI):リスクがあれば淋菌・クラミジア・トリコモナス等の尿道炎も鑑別。

必要な検査

まずは簡便な検査から原因を絞り込み、必要に応じて段階的に精密検査を行います。

  • 問診・診察/排尿日誌:発症時期、回数・量、痛みの部位、発熱の有無、服薬、既往、性生活・STIリスク。
  • 尿検査:尿定性・沈渣・培養(感受性試験)で感染の有無と菌種を同定。
  • 超音波:残尿量・膀胱壁・腎・結石の確認、骨盤臓器脱の評価。
  • 血液検査:炎症反応、腎機能、血糖(HbA1c)。
  • 婦人科評価:GSM(萎縮)・膣炎の有無を視診で確認。
  • STI検査(必要時):NAAT(PCR)で淋菌・クラミジア・トリコモナス。
  • 精密検査(提携):膀胱鏡(血尿・反復感染・腫瘍疑い)、CT/MRI(結石・腫瘍・複雑感染)、ウロダイナミクス(排尿機能評価)。

治療の選択肢

原因・重症度・併存症に合わせ、過不足のない順番でご提案します。

  • 生活調整(全員の土台)
  • こまめな水分補給(発熱・腎機能に応じて調整)、膀胱刺激物(カフェイン・アルコール・辛味・人工甘味料)を控える。
  • 排尿を我慢しすぎない、会陰部の保温、尿漏れパッドは清潔にこまめに交換する。
  • 急性膀胱炎
  • 培養結果に基づく抗菌薬を適正期間で。再発例は原因検索(GSM・残尿・結石)を併行します。
  • 痛みには鎮痛・鎮痙薬を短期併用します。
  • 過活動膀胱(OAB)
  • 膀胱訓練・時間排尿・骨盤底筋トレーニング。
  • 薬物:β3作動薬(第一選択の一つ)、抗コリン薬(口渇・便秘・認知機能に配慮し最小量)。
  • GSM(萎縮性膣炎)
  • 局所エストロゲン(膣坐薬/クリーム)で頻尿・しみる痛み・反復膀胱炎の改善を期待。膣保湿剤も併用します。
  • 間質性膀胱炎/膀胱痛症候群
  • 飲食調整・ストレスケア・骨盤底リハを基本に、必要に応じ内服・膀胱内注入療法は専門と連携します。
  • 結石・腫瘍・構造異常
  • 泌尿器科と緊密に連携し、体外衝撃波・内視鏡治療・手術等を調整します。
  • 再発予防
  • 水分・排尿習慣の見直し、性交後排尿、便秘是正、局所エストロゲン(閉経後)、必要に応じ予防的抗菌戦略を個別に実施します。

抗菌薬は必要な時に、必要な量を、適切な期間。不必要な投与は避け、再発の根本要因(GSM・残尿・結石・糖代謝)へアプローチします。

受診のご案内

次のサインがあれば、早めの受診をおすすめします。
・排尿時に強い痛み・しみる感じ、トイレが近い/夜何度も起きる
・血尿・発熱・背部の強い痛み・吐き気(腎盂腎炎・結石の疑い)
・症状を繰り返す、抗菌薬が効きにくい、糖尿病・腎疾患・免疫低下がある
・尿が出にくい/残尿感が強い(排出障害の疑い)

当院では、尿検査・超音波・婦人科評価を起点に、生活調整・薬物療法・骨盤底リハ、必要な泌尿器科的検査・処置は提携先で確実に実施します。
結果は当院で丁寧にご説明し、初診から再発予防まできめ細やかにサポートします。

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