尿漏れとは

尿漏れとは

「トイレまで我慢できない」「せきやくしゃみで漏れる」「夜間に何度も起きる」など、尿失禁・頻尿・夜間頻尿を総称して尿漏れと呼びます。
代表的なタイプは
・腹圧性尿失禁:立つ・せき・笑う・荷物を持つなどで漏れる
・切迫性尿失禁(過活動膀胱):突然の強い尿意で間に合わない
・混合性尿失禁:上記が混在
・溢流性/機能性:排出障害・認知/運動機能低下に伴う漏れ
です。放置すると生活の質・睡眠・転倒リスクに影響するため、早めの評価が大切です。

主な背景・原因

  • 骨盤底の支持力低下:加齢、分娩歴、慢性のせき・便秘、肥満、骨盤臓器脱
  • 膀胱の過敏性:加齢・神経因子、利尿薬・カフェイン、冷え、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)
  • 基礎疾患:糖尿病性神経障害、脳血管疾患、パーキンソン病など
  • 薬剤:利尿薬、抗うつ薬、鎮静薬、抗コリン薬の重なり(口渇・便秘・せん妄に注意)
  • 泌尿器疾患:感染、結石、腫瘍、前立腺肥大(女性は稀だが尿道狭窄など)
  • 生活要因:水分タイミング、アルコール・カフェイン、日中活動量の低下

必要な検査

負担の少ない基本から、原因に応じて段階的に行います。

  • 問診・診察:症状の型、発生状況、妊娠・分娩歴、服薬、既往、転倒歴
  • 排尿日誌(3日間):尿量・回数・漏れの状況・水分摂取を可視化します。
  • 尿検査:感染・潜血の有無
  • 超音波:残尿量・膀胱壁・腎の確認、骨盤臓器脱の評価
  • 骨盤底機能評価:咳テスト、必要に応じパッドテスト
  • 専門検査(連携):ウロダイナミクス(膀胱機能検査)/膀胱鏡、CT/MRI が必要な場合は提携先で実施します。

治療の選択肢

タイプ・重症度・併存症・生活背景に合わせて、無理のない順番でご提案します。

  • 生活調整(全例の土台)
  • 水分と利尿性飲料(カフェイン・アルコール)のタイミングを調整する。
  • 夕方以降の摂取量見直し、就寝前2~3時間の利尿負荷を減らす。
  • 便秘対策、減量、冷え対策、夜間の転倒予防(動線・照明)などの対策を講じます。
  • 骨盤底筋トレーニング(PFMT)/膀胱訓練
  • 正しいフォームの習得が鍵。必要に応じて理学療法士と連携します。
  • 切迫性には尿意の遅延法・時間排尿も併用します。
  • 薬物療法(過活動膀胱・切迫性)
  • β3作動薬:頻尿・尿意切迫を改善。高齢者でも使いやすい第一選択の一つです(高血圧の管理に留意)。
  • 抗コリン薬:有効だが口渇・便秘・認知機能への影響に注意し、最小量・短期が基本です。
  • 併用療法:症状により検討します(副作用バランスを重視します)。
  • 局所エストロゲン(GSM対策)
  • 膣の乾燥・違和感・反復膀胱炎を伴う場合、膣坐薬/クリームで尿意切迫の改善が期待できることがあります。
  • デバイス・処置
  • ペッサリー:骨盤臓器脱に伴う腹圧性に有効です(定期フォローで清潔管理)。
  • 尿道塞栓材(バルキング):腹圧性の低侵襲選択肢(連携施設)
  • 経皮的脛骨神経刺激(PTNS)/ボツリヌス毒素膀胱内注入:薬剤不応の切迫性に(連携)
  • 手術(腹圧性)
  • 中部尿道スリング(TVT/TOT) などを専門施設と連携し提案します。
  • 溢流性・機能性への対応
  • 排出障害・残尿が主因なら原因疾患の是正、自己導尿や薬剤調整を検討します。
  • 認知・運動機能低下には環境調整(トイレ導線・衣服)と介護者教育を併用します。

お薬は最小限・副作用に配慮、非薬物療法を軸に、生活がラクになる実感を大切に設計します。
必要な手術や神経調節療法は適切な専門施設へ迅速に連携します。

受診のご案内

次のサインがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
・突然の強い尿意で間に合わない/せきや笑いで漏れる
・夜間頻尿で眠れない/転倒が心配
・尿に血が混じる・発熱・痛み(速やかに精査が必要)

当院では、排尿日誌・尿検査・残尿評価・骨盤底評価を起点に、PFMT・膀胱訓練・薬物・デバイス・連携治療までをわかりやすくご提案します。
検査・治療の流れや副作用の不安にも丁寧にお答えし、きめ細やかにサポートします。

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