月経不順(生理不順)について
生理不順とは
一般的に月経周期は 25〜38日 が目安です。この範囲を外れる場合を「生理不順」と呼び、次のように分類します。
・頻発月経:24日以内で月経が来る
・希発月経:39日以上あく
・続発性無月経:90日以上月経がない
主な背景・原因
生理不順の多くは、排卵障害が関与します。
卵胞が発育してエストロゲンは分泌されても排卵に至らないと、卵胞は退縮し、エストロゲンの急な低下で消退出血(不正出血)が生じることがあります。
無排卵周期が続くと、周期が短くなったり長くなったりと不規則になりがちです。
誘因としては、精神的ストレス、急激な体重減少、過度な運動、食事の偏り、薬剤性などが知られています。
甲状腺機能異常や高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの内分泌疾患が背景にある場合もあります。
現れやすい症状と留意点
月経が遅れる/早く来る、不正出血が混じる など
排卵が乱れるため妊娠しづらさにつながることがあります
PCOSでは、子宮内膜の保護が不十分な状態が続くと子宮体がんリスクが相対的に上がったり、メタボリックシンドローム・心血管リスクに関連することがあり、計画的なフォローが大切です
気になるサインがある場合は、お早めにご相談ください。
まず確認したいこと(鑑別)
周期的な月経が来ないときは、妊娠の可能性を最優先で確認します。あわせて以下を丁寧に評価します。
体重変動、摂食障害の兆候、強いストレス、運動負荷、服用中の薬、乳汁分泌、男性化徴候、易疲労感など。
既往歴では、分娩時大量出血、子宮内掻爬、子宮頸部円錐切除、卵巣手術、抗がん剤・免疫抑制剤・放射線治療なども月経不順に関与し得ます。まれにアッシャーマン症候群(子宮内腔癒着)が疑われることもあります。
必要な検査
- 問診・診察
- 超音波検査:子宮内膜の厚さ、子宮留血腫の有無、卵巣病変、卵胞発育、PCOSを示唆する多数小卵胞パターン などを確認します。
- 採血:視床下部–下垂体–卵巣系の評価、甲状腺機能、プロラクチンなど
- 妊娠反応(必要に応じて)
- 症例により子宮鏡検査や子宮卵管造影を検討します。
※未経性交の方には配慮し、基本は経腹超音波(お腹の上から)を行います。必要な場合のみ、経直腸超音波を検討します。
治療の選択肢
原因とご希望(妊娠希望の有無など)に合わせ、過不足なくご提案します。
- 生活習慣の整え(視床下部性が疑われる場合)
規則正しい生活、適正体重、栄養バランス、良質な睡眠、禁煙 など - ホルモン療法
周期のコントロール、不正出血の抑制に有用です。PCOSでは子宮内膜保護の観点からも重要です。 - 不妊治療(排卵誘発など)
生理不順が不妊の主因となっている場合に検討します。 - 原因疾患への対応
甲状腺機能異常や高プロラクチン血症がある場合は、まずそれらを適切に治療します。
受診のご案内
月経不順は「様子を見る」うちに背景の疾患を見逃すことがあります。
気になる症状が続く際は、どうぞ遠慮なくご相談ください。24時間WEB予約またはお電話にて承っております。